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「大回顧展モネ」@国立新美術館
「大回顧展モネ」@国立新美術館_d0109755_2154115.jpg日傘の女性が見たくて、5月の末に行ってきました。「大回顧展モネ」。あの有名な絵は学生の頃に国語の教科書で出会って、ずっと本物が見てみたいと思っていた絵でした。さて、奧の方に飾られているかしらと思いきや、拍子抜けするほど入ってすぐにあり、ひとの混雑がすごすぎて後回しに。
団体さんもいたからか、ぶつかりそうな距離で会場内を移動。なかなか絵とゆっくり会話ができる雰囲気ではなく、なるべく通りやすそうなところを選びながらまわるうちに、私はモネの描く雪や、雪ではなくてももくもくと白いものが好きなのだなぁと。3年前に「モネ、ルノアールと印象派展」を見に行ったときも、印象に残ったのは雪の絵でした。あの、白だけではない白。それに惹かれてしまうようです。
今回目にとまったのは「雪中の家とコルサース山」の、山の雪と屋根にかかる雪の色彩、そして「かささぎ」。雪ではないけれど、「サン=ラザール駅」も妙に好きでした。あの煙のもくもく。

今回は大回顧展と銘打つだけあって、モネの絵がこれでもかというほどにならんでいました。つまりは、モネはたくさん作品を残した画家なのだなと。そんななか、スーラを一点見ることができたのが思いがけない収穫。本物を見たのはたぶん2度目なのですが、昔見たときはスーラに目が止まらず、惜しいことに記憶に残っていませんでした。今回展示されていた「グランカンの干潮」はけっこう好きで。青でキャンバスの周りをぐるっと枠みたいに囲っているんです。それがなんだか綺麗で、額を外してみたらどう見えるのかとか。点描、ほんとうに細かいんですよねぇ。まるでタイルみたいで。

モネは、同じモチーフをたびたび描く画家のようです。
実は「ルーアン大聖堂」の連作も見たくて期待していたのですが、一点は「オルセー美術館展」で見たのと同じだったみたい。でも、2点並ぶとまた違う居住まいを感じます。
積みわらは「…、雪の朝」、ポプラ並木は「…、晴天」がいちばんすき。友人と見ていたのですが、連作に出逢うたびにわたしはこれ、わたしはあっちとちいさい声で自分のすきな作品をささやきあって。好みって違うものだなあと、それも妙にうきうきしました。「テムズ川のチャリング・クロス橋」の2点は、ほんとうにほとんど同じ情景で、ひかりのつよさと、もくもくの位置が微妙に違うくらいです。同じ年に2点、それでも、こっちのほうがすき、というのが分かれるからふしぎ。
セーヌ川の朝、霧」という作品をぼんやりと眺めていて、ふっと次に並んでいた「セーヌ川の朝」に目を向けると、まるで今この瞬間さぁっと霧が晴れたかのようにひかりが差し込んで、うつくしかった。

お昼を過ぎたら急にすいてきて、チャンスとばかりに飛ばしてしまったのを見に戻りました。「日傘の女性」は横にスケッチもあって、スケッチの時は風に背を向けていたのだなぁと。左右どちらを向くかで、印象ががらりと変わるからふしぎです。スケッチは少しやさしい印象、完成作の方が女性がきりっとしてみえます。
近くに展示されていた「ゴーディベール婦人」は、人物画なのにこちらを向いていません。けれど、気品が漂っていて印象に残る絵でした。タッチは他の絵に比べて太い感じ。「揺りかごの中のジャン・モネ」も同じようなタッチです。
パリ万博の祝祭」は、展示されている中で唯一、喧騒の聴こえてくる絵だったなぁと。モネの絵は、耳を澄ませてもしずかな絵が多いような気がします。色はあふれんばかりなのに、がやがやとした音が聴こえません。
97点あるモネを見ていると、後年になるにつれ何が描いてあるのか一目ではわからないような、抽象へと発展してゆくのがわかります。たくさんあった「睡蓮」も、さまざまなタッチで描かれています。1907年のポーラ美術館所蔵のと、1908年東京富士美術館所蔵のが好き。淡い色彩がきれい。抽象は、私にはまだよくわからないみたい。

たくさん作品がありすぎて、気になったのに覚え切れなかった絵も多数。もう一度見に行こうかな、でもまた目からこぼれ落ちてしまいそうです。
by utainemuru | 2007-06-05 21:09 | 美術
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